電動機は始動時に全負荷電流(定格電流)の3〜6倍程度の電流(始動電流)が流れます。このため、電力会社では定格出力が3.7kwを越える三相誘導電動機については、始動装置を使用して始動電流を抑制するように定めております。ただし、国内ポンプメーカの水中ポンプ用電動機で使用している「特殊かご形誘導電動機」では、11kW未満のものは除かれます。よって、水中ポンプの三相誘導電動機の代表的な始動方式は、表-3のようになります。
 
表−3 三相誘導電動機の始動方式
出力 始動方式 内    容
7.5kW
以下
直入れ始動
(全電圧始動)
 電動機に最初から定格電圧(全電圧)を印可して始動する方式で、始動操作が最も容易で、大きな始動トルクが得られるのが特徴です。しかし、始動時に定格電流の3〜6倍程度の電流が流れるため、電源や他の電動機などの設備に影響を与えることがあり、小出力の電動機に採用される始動方式です。
11kW
以上
スターデルタ始動
(減電圧始動)
 巻線がデルタ結線されている電動機で、始動時はスター接続、一定時間後にデルタ接続に切り換える方式で、直入始動に比べて始動電流を約1/3に抑えられるのが特徴です。しかし、始動トルクが約1/3に低下するほか、始動器が必要でポンプケーブルも6芯となるため、中出力の電動機に採用される始動方式です。

※本文は、雑誌「月刊下水道」に投稿した原稿を加筆修正したものである。
作成日:平成19年12月18日
(社)日本産業機械工業会 排水用水中ポンプシステム委員会

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