生活排水などからの異物排出
 
 生活排水などに混入する異物としては、次のような異物排出が想定されます。
(1) トイレ(公衆トイレ含む)
 
 管路施設の汚水入口部としては、トイレ排水口の物理的空間が最も大きいため、排泄物以外の大きな異物(固形物)が排出される可能性があります。特に公衆トイレなど不特定な利用者が使用するトイレは、異物混入の可能性が高くなります。
 
 例)紙オムツ、生理用品、綿布、ストッキングなど。
 
(2) 風呂など
 
 浴槽からの排水は、固形物混入の可能性は少なく、また、排水口も30mm程度です。洗い場、洗濯機、洗面台などからの排水は、排水口に目皿を設けているため、異物も小さく量的にも少ないと判断されます。
 
 例)排水口目皿に詰まった繊維類・髪の毛を回収せずにそのまま排水口から排出。
 例)排水トラップに堆積した異物を回収せずにそのまま排出。
 
(3) 台所など
 
 管路施設の汚水入口部としては、水質的に雑多な異物(液体含む)が排出される可能性が大きくなります。固形物に関しては、排水口目皿やカゴで回収されるため、異物も小さく量的にも少ないのですが、ディスポーザが設置されている場合は、繊維状の野菜屑などが大量に排出されます。
 
 例)油脂類・塩分・酸性・アルカリ性液体(天ぷら油、みそ汁・煮炊き汁、洗剤等)
 例)野菜屑・食物屑類・割り箸・スプーン類
 
(4) その他(上記の排水口と管路施設をつなぐ家庭内の排水管路)
 
 各排水機器の排水口と下水道管路施設とをつなぐ家庭内排水管路からの異物混入が想定されます。
 
 例)接続マスなどの開口部から雨水などと共に流入する土砂等。
 例)排水管路の接続ミスによる雨水などの流入。
 
工場排水などからの異物排出
 
 工場排水などの特定施設では、一般的に中間処理施設などで処理された後に管路施設に排水されるため、管路施設への異物の混入は少ないものと判断できます。
 
管路途中からの異物混入
 
 管路途中からの異物には、次のようなものが想定されます。
 
(1) マンホール蓋から
 
 汚水管路のマンホール蓋は密閉性の高い蓋が採用されているため、異物が流入する可能性は低いのですが、開口部が極端に大きいため、故意に異物が排出された場合は、影響が甚大となります。
 
 例)不法投棄物(固形物・液体)など
 
(2) 管路から
 
 地盤沈下などによる不明水(地下水)の流入がありますが、異物が流入する可能性は低いと判断されます。
 
 例)工事中の残骸・土砂など。

※本文は、雑誌「月刊下水道」に投稿した原稿を加筆修正したものである。
 
作成日:平成19年12月18日
(社)日本産業機械工業会 排水用水中ポンプシステム委員会

Back PageTop Next