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式 |
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H: |
計画全揚程(m) |
ha: |
計画実揚程(m) |
hf: |
圧力管路の損失水頭(m) |
ho: |
ポンプ槽内配管・弁類の損失水頭および吐出口の残留速度水頭の和(m) |
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1 |
計画実揚程について |
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計画実揚程は、ポンプの計画吸込水位と計画吐出水位との差で求められます。
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小規模ポンプ施設(マンホールポンプ施設)における計画吸込水位の設定方法には、より安定した排水を行う考え方と、より小出力で排水を行う考え方との違いで2通りの方法があります。また、計画吐出水位は、圧力管内の圧力が常に正圧となる場合と、部分的に負圧となる場合とで取り方が変わってきます。
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以下に、ポンプの計画吸込水位の設定方法と吐出水位の取り方について記載します。
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2 |
ポンプの計画吸込水位の設定方法 |
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(1) |
計画吸込水位はポンプ始動水位とする。 |
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この考え方は、図-2に示すようにポンプ槽内の変動水位の最上位を計画吸込水位とするもので、ポンプ始動水位において最大流入汚水量以上のポンプ吐出量を確保する考え方です。ポンプ始動水位(一般に流入管管底高)を決定すれば計画実揚程が決定できるため実用的な設定方法となります。この方法では、ポンプ運転中の吸込水位は、停止水位に達するまでの間、流入汚水量の変動により水位が上下に変化することがあります。
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ここで、ポンプ始動水位は、計画汚水量に対し100%容量のポンプを2台設置するマンホールポンプ施設ではポンプ1台目始動水位が計画吸込水位となり、計画流入汚水量に対し50%容量のポンプを2台設置するGPユニットではポンプ2台目始動水位が計画吸込水位となります。また、ポンプ選定に際しては、計画実揚程を最小値で決定している為、図-3に示すようにマンホール内水位が一番低い時にもポンプが締め切り運転にならない事をポンプの特性曲線で確認する必要があります。 |
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図−2 ポンプ始動水位を計画吸込水位とした場合
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図−3 ポンプ選定図による揚程変化の確認
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(2) |
計画吸込水位はポンプ停止水位とする。 |
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この考え方は、図-4に示すようにポンプ槽内の変動水位の最下位を計画吸込水位とするもので、いかなる水位のときでも最大流入汚水量以上のポンプ吐出量を確保する考え方です。この方法では、ポンプ運転中の吸込水位は、停止水位に達するまでの間、水位は常に低下し続けることになります。しかし、計画実揚程は
(1) よりも大きくなるのでポンプ出力が一ランク大きくなる場合があるほか、ポンプ停止水位の決定には事前にポンプ槽内の水位変動幅を仮決定し、水位変動幅の決定後に再度実揚程を確認する必要があります。
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ここで、予旋回槽付きのマンホールポンプ施設では、実際のポンプ停止水位は吸込ノズル下端水位付近となりますが、この場合は、有効貯留水深の下端水位を計画吸込水位とします。 |
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図−4 ポンプ停止水位を計画吸込水位とした場合
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3 |
ポンプ計画吐出水位の取り方 |
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圧力管路縦断が下流(吐出)側に向かって常に上りこう配の場合や、起伏があっても圧力管末端が管路最高点となる場合のポンプ計画吐出水位は、吐出側末端の管頂高となりますが、圧力管路途中に管路最高点がある山越え圧送の場合は、圧力管路内の圧力が部分的に負圧となる場合があるため、ポンプ計画吐出水位の取り方に注意する必要があります。
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(1) |
吐出側末端の管頂高となる場合 |
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図-5のように、吐出側末端の管頂高を基準に圧力管路の動水勾配線を求めた時に、管路途中の最高点より動水勾配線が上にあって圧力管路内は全範囲で正圧となる場合は、吐出側末端の管頂高をポンプ計画吐出水位とします。 |
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図−5 山越え圧送で管路全体が正圧となる場合
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(2) |
管路途中の最高点管頂高となる場合 |
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図-6のように、吐出側末端の管頂高を基準に圧力管路の動水勾配線を求めた時に、管路途中の最高点より動水勾配線が下にあって負圧となる場合は、管路途中の最高点管頂高をポンプ計画吐出水位とします。
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ここで、ポンプは管路途中の最高点まで圧送するポンプを選定し、最高点の空気弁からは常に空気が管路内に入って大気圧となるため、最高点より下流側は自然流下となります。 |
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図−6 山越え圧送で管路最高点が負圧となる場合
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4 |
管路の摩擦損失 |
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一般的には処理場内ポンプ施設等の比較的短い管路の摩擦損失はダルシーワイズバッハ式を使用し、圧送ポンプ施設等の比較的長い管路の摩擦損失はヘーゼン・ウィリアムス式を使用して計算されます。
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ダルシーワイズバッハ式の損失係数の取り方およびヘーゼン・ウィリアムスの各管種の流速係数C(C=110〜140)の取り方は各計画・設計指針によります。
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5 |
その他損失 |
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通常は、計算を簡便とするためにその他損失として1.0〜2.0mを見込みますが、必要に応じて、ポンプ槽内配管・弁類の損失水頭、吐出口の残留速度水頭を詳細に求める場合もあります。 |