下水道普及率の高い米国やオランダ、ドイツなどの欧州の事例では、下水道普及率が70%を越えたあたりから、コスト面で有利な圧力式下水道収集システムの需要が伸び、高い普及率を実現しています。そして、日本国内における圧力式下水道収集システムは、2001年より「下水道施設計画・設計指針と解説」に、また、2002年からは「農業集落排水施設設計指針」に記載されるなど、これからの下水道収集システムとして認知され、今後の普及がすすむ土壌ができつつあります。
 
 さらに、下水道法施行令が平成15年9月に改正され、それに伴う国土交通省令や国土交通省告示などが平成16年3月に公布され、それぞれが平成16年4月1日に施行されましが、この中の国土交通大臣告示(平成16年第262号)では、「自然流下によらない排水管の内径の最小値は30mmとする」旨の記載がされました。
 この下水道法施行令の改正に関連して、平成16年7月に(社)日本下水道協会:「小規模下水道計画・設計・維持管理指針と解説」のポンプの項が改訂されました。
 
 GPを用いた圧力式下水道収集システムの最小圧力管径は30mmであり、まさにこの下水道法施行令に合致したシステムといえます。
 
 また、国庫補助制度としては、国土交通省の「下水道事業の執行に対する国庫補助対象範囲」においても「宅地内に設置されたGPユニット以降を国庫補助の対象とする」旨の記載があり、国土交通省も細い配管で布設できる圧力式下水道収集システムの普及に期待しているといえます。
 
 今後の下水道事業は、普及が遅れている中小市町村の下水道施設の普及促進が課題となりますが、自然流下式での収集が難しい地域での代替方式として、圧力式下水道収集システムの適用が増加するものと期待します。

※本文は、雑誌「月刊下水道」に投稿した原稿を加筆修正したものである。
 
作成日:平成19年12月18日
(社)日本産業機械工業会 排水用水中ポンプシステム委員会

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