圧力式下水道システム研究会の設立
 
 我が国では、圧力式下水道収集システムの技術開発および利用技術の確立、ならびにシステムの普及を目的として、民間企業7社により1985年に「圧力式下水道システム研究会」が設立されました。
 
 同研究会では、1986年にアメリカに調査団を派遣して圧力式下水道収集システムの使用状態を調査し、GPユニットの信頼性を確認しました。我が国での普及活動に先立ち、その信頼性を確認・実証することを目的として1986年より愛知県一宮市(公共下水道東部ポンプ場内)で6ヶ月間に渡り耐久テストを実施しました。GPの実稼働時間は、約1,200〜2,200時間(各戸に設置した場合の約10〜36年程度に相当)となり、耐久テストの結果からポンプ性能および破砕性能の低下がほとんど無く、長期間の運転に対する耐久性が確認されました。
 
つくば市での実証試験
 
 一般家庭における実証試験としては、旧建設省土木研究所と同研究会による圧力式下水道収集システムの開発に関する共同研究として、つくば市大角豆(ささぎ)地区の一般家庭(16戸)を対象に1987年より約3年間に渡り実施されました。実証施設は、1戸用2基、2戸用4基、3戸用2基の計8基(宅地内はFRP製貯水槽、道路下の3箇所はコンクリート製の貯水槽)のGPユニットを設置して行われました。(実証施設系統図)
 
 本実証施設は、共同研究終了後の1990年につくば市に移管されましたが、その後の対象戸数も22戸(11基)に増加し、建設から17年が経過した現在も適切な維持管理を経て順調に運転されています。
実証施設系統図
 
圧力式下水道収集システムの導入
 
 前述の研究会は、(社)日本産業機械工業会風水力機械部会の「圧力式下水道システム委員会」を経て、「排水用水中ポンプシステム委員会」として活動を継続していますが、つくば市での実証試験以降、下記の事例が納入されるなど、2007年(平成18年度末)現在で既に全国で3,200台以上のGPが納入されています。
1988年 神奈川県横浜市/横浜博覧会:65台(23ユニット)
1990年 長崎県佐世保市/アイデア下水道 ハウステンボス針尾処理区:66台(66ユニット)
1992年 鳥取県倉吉市/農集排 小田・古川沢地区:60台(33ユニット)
1995年 石川県山中町/アイデア下水道 鶴仙渓地区:16台(9ユニット)
1998年 東京都/奥多摩湖周辺部特定環境保全下水道:計25台(25ユニット)

※本文は、雑誌「月刊下水道」に投稿した原稿を加筆修正したものである。
 
作成日:平成19年12月18日
(社)日本産業機械工業会 排水用水中ポンプシステム委員会

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