ロータリ・ブロワ(ルーツ式)の歴史
 ローブ(LOBE)輪郭の初期特許権者、MR.ルートの名前をとって「ルーツ式」送風機・圧縮機と呼称され、広く世界に知られてから、約140年余の歴史を経て今日に続いています。(1866年10月2日アメリカ再発行特許第2369号)。ロータリ・ブロワは、戦前からわが国でも製造されていましたが、本格的には戦後であって、急速な需要の進展によって、各メーカーが生産技術の充実を計り、概ね、数十億円産業から、百億円産業へと拡大してまいりました。わが国では、正式呼称を『ロータリ・ブロワ,真空ポンプ(ルーツ式)』として、販売されています。LOBEの形状は、二葉と三葉のものがあって、輪郭の曲線は各メーカーによって多少異なるものの大差はありません。圧力の上昇に対応して、多段式のものも考案されました。代表的な日本のメーカーは、本手引書に記載してあります。外国の会社では、アメリカ(DRESSER INDUSTRIES社)、イギリス(HOLMES社)、ドイツ(AERZENER社)、フランス(HIBON社)が有名です。二軸で簡単な構造であること、取扱いが容易である上にオイルフリー(油に触れない)であることなどの特長から、食品、醸造、炉内送風、撹拌、セメント・小麦粉・穀物などの気力輸送用空気源として古くから使用されていました。1948年に至って、ケーシング内に適量の注水を行うことによって、高い効率と高い真空が得られる技術が新たに開発され、製紙用抄紙機の各ロールからの吸引脱水用真空ポンプとして、極めて画期的な用途が創造されました。石炭鉱内の保安、保健、環境改善のため、坑内のメタンガスを吸引する真空ポンプが考案されて、炭鉱爆発の危険を防ぐことにも役立って、一層その用途も多くなってきました。軸封用メカニカルシールの進歩と信頼性の増大によって、これが組み入れられて各種のガス体の取扱いが安全且つ容易になったため、石油化学工業での需要が大幅に広がって行き、今日のガス用ブロワ、真空ポンプの基礎を築くに至りました。汚水排水処理用としてのばっ気用ブロワとガスブロワが、国の行政基準の設定によって官公需要や民間需要となって急激に発展し、生産台数は益々増大しました。騒音規制の諸条例に合せて、各種の対策が立てられ、特に消音箱、消音器の考案によって、騒音の低いブロワの評価を得られ、前にも増して各方面に亘って使用されることになりました。企業規模の拡大に添って現在日本で製造されているものは、口径20mmの小型から口径700mmの大型、鋳鉄、ステンレス、ゴム張、カニゼンメッキなどの各種材料を使って、耐酸、耐蝕仕様に合うよう顧客のニーズに充分適合出来る状態にまで改良がなされました。輸出にも対応して、世界各国向に各種各サイズのものが多量に出荷されています。当該製品は、往復式、遠心式の中間域に、適当な範囲での用途が得られますので、今後、そうした適性が各業界に認識いただければ、一層の研究開発の努力を基礎に大きく発展し、その用途はますます広がって行くものと期待致しております。